こんにちは。
若くても不妊の方はおられます。精液の状態が非常に悪い、卵管が完全に詰まっているなど、決定的に妊娠に不利な要因があれば、若かろうと、いくら性行為をしようと妊娠しない場合もあります。その場合、2年を待っているうちに、無駄に老化するだけだという視点もあります。ただ、奇跡的に自然に妊娠する方もおられ、真実を知ることでつらくなるという場合もあるので、どれだけ待って本格的な検査・治療に乗り出すかは難しい所です。
不妊の40%程度は男性側の要因と言われております。
ただ、男性に取って、生殖能力がない(妊娠させられない)というのは、プライドに関わる問題、生物としての本能を脅かされるような感じがあるようで、自分のせいで妊娠できないのでは・・・という問題に向き合うのが怖いという心理があるようです。説得に当たっては、そういう恐怖感があることを理解する必要があるかもしれません。あなたに原因があるかもしれないから検査してほしいということではなく、あっさりと、妊娠しにくい人は検査の一連の流れがあって、その中で精液の検査をするのが当然の流れだから、何月何日に検査するから精液を取ってほしい、というように淡々と伝えるといったこともあるのかもしれません。健康診断の尿検査と同じように、これはもうやるものなんだ、という感じです。
もちろん、妊娠しづらいかも・・・という恐怖感は、女性である相談者様にとっても本能的に怖いことだと思います。しかし相談者様はそれを受け入れて、頑張って向き合って赤ちゃんを目指そうとされています。男性にとっては、1年というのはそれほど長いように思わないのかもしれませんが、毎月毎月、生理が来るか来ないかとびくびくしてはがっかりする、ということに耐える女性は本当につらいと思います。
喫煙は、妊娠中の女性や、赤ちゃんに取ってもよくないものです。自分は変えたくない、とにかくイメージだけで赤ちゃんが欲しい、子持ちとしてのステータスを身につけたい、という男性の姿は、大変無責任に思えます。
ただ一部の男性に取って、酒を飲みタバコを吸うというのはライフスタイルであり、飲酒喫煙を共にすることで仲間との仲間意識を維持する、そういうコミュニティの一部としての自分を保つということがあるようです。職場で喫煙所で話をする、タバコを吸いながら上司や同僚と話すというコミュニケーションがあるからやめられないとか、仲間に対し、喫煙をやめる自分というイメージを持ちにくい(仲間から、「なに、お前タバコ止めたの?いい子ちゃんになっちゃったの?健康とか気にしてる感じ?」みたいに冷やかされるようなイメージがあるようです)ということで、変えたくない、という意識もあるようです。妻に小言を言われて自分を変えるというようなことは、妻の尻に敷かれているようで許せない、というようなこともあるようです。そういった方には、先輩にあたる地位の男性などから、「奥さんは命がけで妊娠出産するんだからそれぐらい我慢しろよ、お前は自分の子供に毒の煙を吸わせてるんだぞ」みたいなことを言ってもらえると効く場合もあります。
喫煙飲酒も含め、旦那さんが自分を変えようとしないことは、私からすると大変危ういように思えます。一事が万事、とにかく自分を変えるのは嫌だ、でも妻と子がいて俺っていっぱしの男だと思いたい、子供を産ませられない自分というイメージは認められない、という姿勢が表れているようにも思います。
妊娠出産育児は、自分を変えて犠牲にして子供を優先にしなければならないことの連続です。赤ちゃんはこちらの事情など知らず、泣きわめきものを壊し、お金がかかる存在です。ただ可愛いだけではありません。それを受け入れて、共に乗り越え、一緒に歩んでいけるのかどうかが不安にも思えます。そんな相手との子供を欲しいのか?女性に取って、妊娠出産は文字通り命がけです。命を懸けてこの男性との子供が欲しいのか?極端に言うと、この人の子供を産むために死んでもいいと思えるか?ということになると思います。
それでも、旦那さんにいいところはある、この人と生きていきたい、この人との赤ちゃんを抱きたい、多少のことには目をつぶってでもこの人が良いと思えることがあるのであれば、ですが、
男性の精液検査をするには、自慰行為で採取した精液を容器に入れて持参して調べるのが一番ですが、他の方法として、朝などに性行為をして精液が膣内にある状態で女性が産婦人科を受診し、膣内に残った精液を採取して検査する、フーナー検査・ヒューナー検査というような検査があります。この検査で明らかに精液の状態が良好であれば、恐らく男性側の要因は少ないだろうと推測できます。精液と、子宮の入り口の粘液の相性もこの検査で分かります。朝に性行為をすることが可能であれば、この検査を行うことができないか、担当の産婦人科医とご相談されてみても良いと思います。
妊娠に向けて、男性側の準備として必要なことがもう一つあり、風疹の抗体があるかの検査と、もし免疫がなければ予防接種(ワクチン)をお願いしたいです。風疹は妊婦が感染すると赤ちゃんの生まれつきの病気を引き起こすことがあるとされています。ワクチンを打てば感染を防げるので、妊娠を希望する女性本人がワクチンを接種することが重要ですが、体質的にワクチンを打っても免疫が付きにくい方がおられるので、同居のご家族もワクチンを打つことが重要です。一般的には赤ちゃんの頃に風疹のワクチンを打っている方が多いですが、大人になるにつれて免疫が弱まることが多く、女性は思春期に追加接種を受けている人もいますが男性は受けていないことが多く、男性が媒介者となって妊婦に感染させるということが起こっています。自治体によっては、妊娠を希望する女性や、その同居男性に向けて、風疹の免疫があるかどうかの血液検査や、ワクチン接種に対する費用補助を行っており、職場の健康診断の血液検査で風疹の免疫があるか調べられる場合もあります。「○○市 風疹 ワクチン」などで検索してみていただければと思います。郵便で風疹について自治体から通知の書類が来ていることもあります。
旦那さんをどうやったら変えられるか、については難しい所ですが、基本的に人間関係の原則として他人を変えるのは難しい、変えられるのは自分だけ、というのがあります。ご自身ができることを淡々と行いつつ、「私はあなたとの子供を得るためにできる限りの努力をしている。喫煙や過度の飲酒はあなた自身の健康にも良くないし、産まれてくる子供にも良くない。最近は受動喫煙の害が言われており、喫煙してから30分は病院の敷地内にすら立ち入らせたくないというような病院もある。タバコはあなたの楽しみであり、仲間とのコミュニケーションツールでもあると思うが、子供を持つ人生を選ぶなら辞めてほしいと私は思っている」と冷静に一度お話になるのが一番ではないかと思います。
タバコに含まれるニコチン、お酒のアルコールは、脳に働きかける薬物であり、強力な依存性があります。ニコチン依存症という病気です。脳を支配するので、たとえ辞めたいと決意されても、ご自身の意志だけでは禁煙・断酒は難しい面があります。ニコチンを少しずつ体に入れ、禁断症状の苦しみをやわらげながら、禁煙していく、禁煙外来というものもあります。28歳なら健康保険適応で治療が受けられ、オンライン診療を行っている医療機関も多くあります。ただまずはご自身が、禁煙するぞという意志をもたれなければ、禁煙外来でも受け入れが難しいと思います。
今後、育児の様々な困難を乗り越え、人生をともに生きていくために、ぜひ一度いろんなことについて率直にお話合いをされることをおすすめします。