はじめまして、小児科医の白井です。
立て続けの感染症、大変でしたね。
●そもそもですが、気道のウイルス感染症のあとは、かなり咳が長引きます。これは通常の経過です。(感冒後咳嗽といって、感染したあと、4週間近く続いてもおかしくありません)
最後にウイルスの感染症にいつかかられたか不明ですが、まだ1ヶ月たっていなければ、運動したときや(そつでないときでも)咳がでていても、これはウイルス感染症の自然な経過です。
●一方で、今までの喘息性気管支炎、アトピー性皮膚炎、またお父様の喘息のことを踏まえると、たしかに気道は強くはないだろうという印象を受けます。
軽い喘息の症状として、運動したときだけ、あるいは寝る前や寝起きだけの咳、といった症状はたしかにあります。
●では、お子さまはいま喘息なのか、あるいは喘息の前触れなのか、というと、これは実はかなり難しい判断になります。
前述のとおり、名もないウイルスでも喘息のような胸の音・症状をひきおこすことはたくさんありますし、
大人のように呼吸機能の検査もできないので、明確な診断基準もありません。
たしかに、喘息性気管支炎、アトピー性皮膚炎、喘息の家族歴があると、他にそういった因子のないお子さんと比べれば、喘息の可能性は高いな、とは考えます。
そんなときに使う一つの手段として、「診断的治療」というものがあります。これは、「喘息かは判断が難しいが、可能性がありそう。それならば、喘息の薬を一時的に使用してみて、症状が良くなるなら、おそらく喘息なのだろうと診断できる。」というものです。
本来の喘息の治療は、まず一度薬を始めたら、3ヶ月ごとに治療の内容を見直します。が、この診断的治療では、とりあえず1ヶ月間、薬をまず飲んでみます。
※早めに薬を飲んだからといって、喘息を「予防」できるわけではありません。
喘息は、普通はそんなに咳がひどくならないちょっとした刺激(運動、乾燥、ウイルスなどなど)で、咳がひどく・苦しくなってしまう、そんな気管の脆弱さを持っている体質です。
これは生まれ持ったものも大きく、これを薬で根本的に治せるものではありません。
ただ、何もしないで放置すると、気管がどんどん刺激に弱くなり、ますます喘息の症状がひどくなります。
一概には言えませんが、6歳くらいまでにこうした症状をしっかりコントロールしておかないと、大人になっても症状を持ち越しやすいともいわれます。
そうならないように、こうした診断的治療もふくめて、「疑わしきは薬をトライしてみる」というニュアンスで、早めに薬を使ってみることはメリットがあります。
●最終的に、いま診断的治療として内服薬をはじめてみるかどうか、これは診察した医師の判断になります。
絶対にこうしなければいけない、といった決まりのある治療ではないので、医師によっても判断がバラける可能性はあります。
が、飲んでみて悪いことはないです。0歳代の乳児喘息の赤ちゃんも、年単位で飲んでいるようなお薬です。
喘息のような症状は、今後も長期的な付き合いになる可能性もあります。
いくつか医療機関に相談してみて、お母様の納得する方針を提案してくれるところで、治療を検討されてみてはいかがでしょうか。
少しでもお力になれれば幸いです。