ヒトマテさん、こんにちは。
臨床発達心理士の春野瞳子です。
お子さんが怒りっぽくなったことをご心配されているのですね。
でもこのお話を聞く限りでは、当たり前の発達をしているように見えます。表出の仕方には個性があるので、ご自分のお子さんだけが激しいのだと思いがちですが、そんなことはありません。
今は、自己主張と自己抑制を学ぶ時期。
自分の願いを、具体的な行動によって表現する力が「だだこね」です。
これまでパパ・ママたちと一緒にいて、いろいろしてもらう事を喜んでいた子どもたちが、自分というものを作り上げるために、「パパ・ママたち大人と自分は違うんだ」ということを表現するようになってきます。だだをこねることは成長において、「自立」「表現」を学ぶための大切な一課程です。
この時期の子どもは、まだ「自分の思い」だけの世界にいるので、相手の気持ちまで思いやることができません。
ヒトマテさんも、日々同じようなことが続くお子さんの姿に、イライラしてしまいますよね。
でも、たとえば、
好きなテレビが終わって怒りだしたら、「ほんとだね~、嫌だったね!なんでこんなに早く終わっちゃったんだろ?」とまずは気持ちに寄り添ってみる。「また次の日があるから」なんて慰めても「そんなことはわかってる!」とますます怒り出す。なんてこともよくあることです。自分と同じ気持ちを共有してほしいだけなので、お子さんよりお先に「え~?なんで終わるの?いい所なのに!」って怒りだしてみるのもいいかも?お子さんが慌てて慰めに回るかもしれません(笑)
食事中にこぼした時には、だまって布巾を渡す。私は普段から「自分でどうしようか考えられるのが偉いんだよ。失敗したらどうしたらいいかな?」という事を折に触れ話していました。「どうしたい?」ときいて「自分で!」と言ったら十分ではないけれど自分で拭いたことを褒めましたし、「ママふいて」と言われたらいらないことは言わずに拭きました。そんなときにも「自分の気持ちをちゃんと言えたね」と褒めましたよ。
お子さんは今までに失敗して叱られた思いが残っていたり、誰かが失敗して叱られたところを見て怖かったりしているので、それを上書きしていきましょう。
ひらがなの練習は、あまり早くからしなくて大丈夫です。今は文字に触れる程度で。
というのも、運筆に必要な手首のしなやかさが発達していないからです。まずぐるぐる書きから始まり、丸〇が描け、丸がきれいに閉じるように画け、三角△や四角□の線がまっすぐに引けるようになり、ひし形◇が描けるようになったら、文字の練習を開始してもいいという発達のレディネスが整ったと言えるのです。どんな絵を描いているか観察してみてくださいね。
間違っていても「ここが上手!」「まっすぐに線が引けてる」「この丸く結んでいるところうまいねえ」など褒めるところを見つけてください。だって、お子さんは、今できる限りで「ちゃんとやってる」んですから。そう思うと「なんでよ!」って言いたくなる気持ちにも共感できますよね。そのあとで、「ママも書いてみようっと」と正しい字を書くだけで大丈夫です。比べる力がついてくれば自分で直せるようになりますし、そうでなければ、まだそこまでの発達をしていないので訂正されてもわかりません。
ご両親が三歳までに治さないと、とおっしゃるのは昔ながらの「三つ子の魂百まで」を思っていらっしゃるのかもしれませんね。心配してくださる言葉がたまたまそうだったと捉え、中身については気に病まないで「ありがとう、心配してくれて。でも大丈夫だから」と心の中で思っておけばいいです。それこそ放っておけばいいですが、お子さんに関しては放っておけばいいのでしょうか?というご質問には、放っておいてはいけません、とお答えします。
困った行動には必ず意味があります。直接その行動を叱るばかりではますます荒れてしまう事もありますので、上記で申し上げたように、褒めたり認めたりかわしたりしながら対応してください。子どもは褒められたり注目されたりしないとわざと悪いことをして親の注目を集めようとしますから。それほど親にかまってほしいのです。
反抗や拒否に対して、無理に押さえつけてしまうことは、自我を形成していくための意欲が育ちません。でも、子どもの成長にとって大切な時期だと頭ではわかっていても、大人は振り回されて「もういいかげんにして」「いつまで続くの」という気持ちになり、親のほうが「もうイヤだ」と思うこともあるでしょう。「他の人だったら言うこと聞くのに!!」「どうして!」と思ってしまいますが、親が一番わがままを言え、安心できる存在だからなんですね。安心してください。
子どもがわけのわからないことでだだをこねるのには、単に目の前のことではなく「パパやママにかまってほしい」「甘えたい」というサインであることも多いです。パパやママに好かれたい一心で、“オリコウサン”にしている苦しさがコントロールできず、だだこねの姿に表れていることもあります。「さびしいよー」という気持ちを受け止め、抱っこやふれあい遊びの中でゆっくりと感情を伝え合ってくださいね。
子育ては自分育て。お子さんを育てているうちに、自分も母親として育てられているのだと思いましょうね。
これからのヒトマテさんの健闘を祈っています。