こんにちは。
奥様の中には、「私は母親だから、誰よりも子供のために尽くすべきであり、その代償として子供に誰よりも愛され、特別な存在としての対応を受けることができるはずだ。一般常識として、子供は父親より母親を好むはずだ。そうならないということは私がおかしいということだ。愛してくれないものを愛し返すのは難しい。親だから、子供から嫌われようと愛し世話しなければいけないのは分かっているのに、なつかない子供を受け入れ無条件に愛せない自分も苦しい」というような思いがあるのかもしれません。
時々頂く相談として、今回の旦那さんが実母などになったバージョンがあります。つまり育児を、母親の母親が手伝っていて、子供はおばあちゃんになついている。母親である自分はないがしろになっている。母である自分よりもばあばを好む子供をかわいいと思えないし、そんな自分も許せない。というようなものです。
こう書いてみれば分かりますが、別に、子供にとって母親が第一である必要はないのです。母親は産んだだけ、あとは父が育児家事を担い、母親は働いてお金を家に入れているとしても、それでも母親は母親なのですが、日本ではまだまだそういうあり方は馴染んでおらず、母親自身の中にも、母親なんだからこれぐらいやらなきゃ、という気持ちが強いと思います。別に母親でなければできないことなど(妊娠出産以外は)ありません。母性神話というのは、日本全体を包んでいる認知のゆがみであるとも言えるかもしれません。
そして、母親がどれだけやったか、父親がどれだけやったか、子供に尽くした分量に従って、子供が愛を返し、なつく行動を見せるかというと、そうでもないと思います。子供が、「よし、ママは10尽くしてくれて、パパは20尽くしてくれたから、ママへの愛想は10で、パパには20返すぞ」というふうに計算しているわけではありません。なぜお子さんが、お母さんに世話されるのを嫌がるのかは、誰にも分かりません。お子さんなりの理屈であり、それは言葉にしたり、大人の理屈で推し量ることができないものなのかもしれません。
恐らく息子さんが20歳になった時、「お前が2歳の時、ママに着替えをさせられるのを嫌がっていたけど、なぜだ?」と聞いたところで、「そんなの分からないよ・・・覚えてない・・・」という答えになるでしょう。今、ママが気に入らずパパを求めるからといって、10歳になっても20歳になっても同じような状態だとは限らないことは、想像がつくと思います。
私自身も、子供が双方のおばあちゃんになつくのがイライラして、結果的に実家・義実家の助けは極力借りないようにしています。ですので奥様の気持ちも分かります。「俺はやるべきことを普通にやっているだけで、子供が妻になつかないのは、俺がそう仕向けているわけでもない。そこにへそを曲げられても困る」という、相談者様のお気持ちもよく分かります。
一つの方法として、奥様でもなく相談者様でもない、全くの第三者に、お金を払って育児・家事を分担してもらうということがあると思います。または家事を分担してくれる家電・宅配などを導入し、生活全体の大変さをぐっと減らす。育児は手抜きがあまりできませんが、家事は手抜きがしやすいと思います。やるべきことを減らし、気持ちに余裕を作ることだと思います。
お金を払って、保育園なりベビーシッターなりに頼んだら、子供が保育士やシッターになつこうと、奥様はあまり気にならないと思います。相手はお金をもらっているからやっているだけで、仕事の相手であり、依頼した時間だけの存在です。
もともとの性格にもよりますが、育児育児ですべてが支配されると、大変つらいことになります。保育園に行っておられるということで、奥様もお仕事などされているのかもしれませんが、お仕事でもいいし、趣味の外出でもいいし、育児の重圧から解放されて、心おきなく過ごせる時間が大切と思います。
とはいえ、死にたいという言葉が出ている状態を長く放置することも危険と思います。死にたいという人は本当に死にはしないというようなことも言われますが、本当に死んでしまう方もおられます。何も楽しめない、気分が落ち込む、眠れない、疲れが取れない、飲食できないといった状態が2週間以上続くようであれば、心療内科や精神科などのサポートが必要な場合もあります。
母であると同時に、相談者様の妻であり、大切な人であるはずです。私が相談者様であれば、奥様に対し、こういうふうに言うかもしれません。「我々は息子の親である以前に、大切に思いあって結婚した夫婦である。世界一大切と思ったあなたが、そこまで苦しんでいるのを見るのはつらい。俺としては息子の親として家事育児をやっていて、あなたも母親として十分やっていると思う。結果として息子がなつかないように見えるが、その理屈は我々には分からないし、母親がうまくやっていないからなつかないというわけでもないと思う。長い目で見れば、今なつかないように見えても、ずっと同じように母親を大切にしないというわけではないと思う。そもそも、母親だから子供のためにベストを尽くすべきだとか、母子は他の誰よりも愛し愛される関係性であるべきだということも、別に根拠があるわけでもないと思う。なんとなく社会全体にそういう雰囲気があるだけで、あなたは産んだ時点でもう立派な母親であると思う。家事育児などを工夫してさらに負担を減らし余裕を作る、思い切って我々以外の人に育児を担ってもらいみんなで育てていくということもしていって、長い目で育児や生活をしていければいいのではないか。どうにも気持ちが落ち込む、眠れない、楽しいと思えることがないということであれば、脳やこころの不調を来している場合もあると思うので、心に関するプロに相談してみてもいいかもしれない。つらい気持ちが死にたいほど強いというのは放置していいわけではないと思うし、世界一大切なあなたがそういう気持ちでいることは、僕にとっては放置できないことだ」