こんにちは。ご相談頂いてから時間が経過しておりますが、お話をお伺いして思ったことを書かせて頂きます。
知能や精神年齢は、人それぞれ違いがあります。同じ年代の平均よりも大きく遅れている子どもは、支援対象となりますが、大きく進んでいる子どももまた、周囲との違いがあるのに、何らかの問題行動等がない場合には、支援対象とはならないことがほとんどであると思います。いわゆる『浮きこぼれ(落ちこぼれの反対)』と言われたり、ギフテッドなどと呼ばれる方もおられるかもしれません。
ただ、社会に出た後は、学校生活とは異なり様々な年齢が混ざった環境となりますので、自分の適性にあった環境に身を置けば、周囲から浮くということは少なくなり、単に才能あふれた人として扱われ、同じレベルの人と楽しく生きていけることも多くなるかと思います。今後、高校、大学も、同じような人たちが集まる環境を選べば、より周囲との違いは目立ちにくくなり、同じような知能・精神レベルの仲間の中で、手ごたえのある教育を受けられる可能性も高くなるかと思います。
世界は広いです。先取りをするような教育方法だと、小学校に入る前に高校生向けの教材をやっているような子どももおられます。6歳で楽器のコンサートを開く方もおられます。飛び級をして10代で海外の大学に入る人もいます。
趣味の世界では、年齢に関係なく受け入れてくれるようなコミュニティなどもあり、子どもであっても大人であっても変わらず楽しめる場合もあるかと思います。一例ですが囲碁や将棋などの頭脳ゲームでは、10代でプロになる人もいるし、インターネットで作品を発表するようなものも年齢は関係ありません。楽器や芸術関係も、若くして才能を発揮する方もおられます。勉強も、今は様々な教材や動画が、インターネット上では無料で公開されており、世界中の情報が見られます。
もともと子どもはそれぞれ違う存在であり、いつ何を必要とするかは違います。日本の学校制度とは、それぞれ違う子どもたちを、たまたまその地域で同世代で生まれたというだけで、同じ場所に集めて同じ内容を一斉にやらせるということであり、すべての人にぴったりフィットするわけではないのは当然です。それぞれの人で体のサイズが違うから、服にいろんなサイズがあるのと同じことです。全員にMサイズの服を配って無理に着せられたらどうなるか、小さすぎる人もいれば大きすぎる人もいるのは当然です。本来なら、遅れている子には遅れている子にぴったりの教育を与え、進みすぎている子にはその子にぴったりの教育・環境を与えるような制度があるべきですが、日本の現状ではそこまで対応は難しく、才能がありすぎるために学校には通わず選択的に不登校をして、自分で学びたいことを自由に学んでいるような方もおられます。フリースクール、私立学校、海外留学など、様々な方法で自分に合った教育を受けられる道を探す方もおられます。
親は子どもが「普通」「ほどほど」であればひとまず安心できますが、「学校は楽しくある『べき』、『普通』年頃の子にはお友達ができる『はず』、誰でもお友達が欲しい『はず』、挨拶を交わさないのはおかしい、『普通』じゃない」というのも、全員には当てはまらない場合があるかと思います。「学校がつまらない」のは、娘さんの能力からすれば当然と思いますが、だからといって「辛い」のか?「地獄」なのか?は分からない面もあると思います。ご本人は、ご本人なりに何かを考え、自由に羽ばたける時・環境を待っているのかもしれません。
娘さんの立場からすると、「私が『普通』じゃないから、お母さんを悲しませているの?私が『普通』だったら良かったの?」と言うことになるかもしれません。服の例で言えば、「私は体がたまたま大きくてLLサイズの服が欲しいんだけど、Mサイズの服しか与えられず、きゅうくつだけど、きゅうくつだと言ったらお母さんが悲しむ」ということかもしれません。
ご本人がどう考えておられるのかは分からない面はありますが、お母様が不安過ぎて生活できない、涙が出てくる、手が震える、消えてしまいたいというのは、状況から考えると少し深刻すぎるというか、娘さんのことがきっかけだったにせよ、不安をつかさどる脳の神経回路が不必要に過熱しすぎているようにも思います。
特にきっかけがなくても、脳の不安をつかさどる部位が暴走してしまって、不安が必要以上に大きくなりすぎるということは、誰にも起こりえることです。例えば引っ越しや仕事で昇進した、結婚したなど、別に悪くはないことをきっかけにうつ状態になる方もおられます。
私がお話をお伺いしたところでは、娘さんにはもう対等な大人と接するように話をし、興味の邪魔をしないようにし、ご本人が求める環境や情報を得る手助けをして、ご家庭では伸び伸びと過ごさせ、「あなたのことを信じているよ。世界は広いから、あなたの才能で、今後どんなことができるか、どんなことで人や社会の役に立てるか、どんな出会いがあるか、楽しみだね。何か困ってることとか、必要なもの・ことがあれば言ってね」と言っておけばいいようにも思います。勉強やご本人の趣味とはあまり関係ないところで、一緒に家事をしたり、お料理をしたり、将来の生活能力につながるようなことを教えていったりして、ついでに会話の機会を持ったりするのも良いかもしれません。
相談者様の状況としては、「気の持ちよう」で済む範囲からは外れつつあるようにも思います。頭では「心配ない」と思っても、「涙が出る、手が震える、消えたい」という状況が続くようなら、脳が暴走状態に入っているかもしれませんので、心療内科や精神科での治療も考えられると思います。心療内科や精神科というと、「頭がおかしい人やが行くところ」「あそこに行くようになったらもう終わり」「私はそこまで心が弱くはない」というようなことを、言わないまでも思っている方もおられますが、うつ病や不安障害などは、10人に一人以上が経験するありふれた病気です。脳内で神経伝達をつかさどる物質が少しバランスを崩した状態で、一時的にお薬を使ったりして回復を助けるだけです。実は私自身も出産後は深刻なうつ状態になり、赤ん坊を前にして「今にも天井が落ちてくるのでは?」「いますぐ子供と飛び降りなければならないのでは?」とか、今となっては変なことを真剣に思ったりしていてもたってもいられず涙が止まらない状態でした。その時は根性で乗り切ったつもりでいたもののその後立ち行かなくなり、2年ほど抗うつ剤を服用して、今は薬なしで生活できている状態です。
娘さんを否定せず、温かく見守り、見方でいてくださるお母さんであれば、娘さんにとっては心強いと思います。そのためにも相談者様の心身の健康を大切にしていただければ、心配ないと思います。