2021/10/22 23:29:13
2歳の子と半年離れていると愛着形成に問題が生じますか?現在私はフル…
2歳の子と半年離れていると愛着形成に問題が生じますか?
現在私はフルタイムで働き、夫が育児休業を取得中で、昼は夫メイン、夜は私メインで育児をしています。
娘が2歳になる段階で夫が復職するにあたり、双方の仕事の都合上、半年程度遠方で別居することになります。
夫は娘を連れていきたいと言っており、そうなると、半年の間夫はフルタイムで働きつつ保育園を利用して”ワンオペ育児”をすることになります。この間、場所が遠方のため、互いに行き来することはできません。
私が半年の間娘と離れて生活することで、娘の愛着形成に問題が出てしまうのではないかと心配しています。
夫がそばにいるので大丈夫なのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
専門家からの回答
かなさん
始めまして。
お仕事の都合とはいえ、お子さんと半年も離れて暮らすことは心配や寂しさもありますよね。
ご主人とお子さんと二人きりでの生活となるとそばにサポートしてくれる方はいらっしゃいますか?!
お子さんもまだ小さいので慣れない土地で暮らすとなると、体調不良で病院にかかる事もあると思います。
ご主人の職場が子育てや家庭の事情に理解があるのであれば、早退やお休みも取りやすいと思われますが、
もしも、かなさんの方がお仕事の都合がついて育児がしやすいのであれば、かなさんとお子さんとが一緒に暮らすという選択もありだと思います。
最近は、オンラインでも繋がれますし可能であれば2.3週間に一度でも会いにいくなどしても良いと思いますよ。
コミュニケーションを繰り返しとっていけば、離れていても愛情はちゃんと伝わるものですよ。
参考になれば幸いです。
専門家からの回答
ご相談ありがとうございます. 小児科医の速水です.
お母さんとお父さんが離れて過ごさなければいけない.
半年とはいえ, お子さんにとってもご両親にとっても苦しい状況ですね.
【愛着】というのはイギリス人の子どもの心の専門家Bowlby(ボウルビィ)が50年ほど前に作った概念で, 英語ではアタッチメントと言います.
タッチという言葉が入っている通り, 元々の意味は【困った時に自分を助けてくれる他者に接触(タッチ)を求める行動】のことをいいます.
愛着は子どもが概ね満2歳までのご両親との関わりの中で育まれ, 困ったことがあっても助けてもらうということを繰り返すことで, 困った時に自ら他者を求められるようになると言われています.
これまでの2年間, お母さん・お父さんの2人に守られてきたからこそ,
お子さんはお母さん・お父さんの2人に愛着があるのではないかと思います.
お母さんもお父さんがいるから,お父さんもお母さんがいるから,
この妊娠期間を含めたこの3年程を乗り越えることができたのではないかと思います.
改めてですが,
お子さんがお母さんと離れて過ごす状況(またはお子さんがお父さんと離れて過ごす状況),
お父さんとお母さんが離れて暮らさなければいけない状況は,【お子さんにとっても】【お母さんお父さんにとっても大きな環境の変化】だと思います.
ただ, 愛着理論を作ったBowlbyはこうも言っています.
【分離が問題なのではない, 分離に至る経緯が重要】なのだ.
具体的にはBowlbyが結核病棟に長期に親と離れて入院した子どもの, 退院後の親子の関係を調べたところ, 問題が起きないcaseが多かったという事実に基づいています.
どういうことかというと,
「子どもの命を守るため」と親が思って子どもを病院に預ける場合の分離=【親が子どもを想った上での分離】は親子の関係に亀裂を与えなかったのです.
また, 子どもを預かるスタッフが【親と離れなければいけない子どもの思い】・【子どもと離れなければいけない親の思い】の両方を引き受けていたことも親子の関係を守ることにつながっていたのだと思います.
相談者さまの場合も同じなのかもしれません.
幼少期のお父さん・お母さんとの分離は避けられるなら避けた方がいいと思います.
ただ, もし分離が避けられない場合,
【離れて過ごすお母さんが娘さん・お父さんのことを思い】, 【娘さんと一緒にいるお父さんが娘さん・お母さんの思いの両方を引き受けられるのであれば】, 【離れて暮らす6か月をなんとか乗り切れるのではないかと思います.】(なんとか3人で乗り越えてほしいという私の想いも入っています.)
お母さんと離れることで娘さんには【大きな心の反応が起きることが予想されます. 】 今までにない程に泣いたり, ご飯が食べられなくなったり, という反応は大好きなお母さんと離れるからこその自然な反応として起こります. 【娘さんと一緒に暮らすお父さんには文字通り今まで以上に育児の負担がかかります.】 お父さんの心の準備・お父さんが疲弊しない子育て環境の整備が重要になるのではないかと思います. お母さんも離れて過ごすお子さんだけでなく, 大きな心の反応が起きる娘さんを受け止めるお父さんのサポートも含めて頑張って欲しいなと思います.
離れて暮らす6か月は苦しい6か月かもしれませんが,
この期間が今まで以上に家族の絆を強める6か月になれば,
強い絆で結ばれた家族の暮らしに繋がる6か月にできるのかもしれません.